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認知症と介護

認知症とは、ものを覚えたり会話の内容を理解したり、何かを判断するといった脳の作業が何らかの原因によってできなくなる症状をいいます。初めに症状として現れるのが物忘れで、通常の物忘れは出来事の細部や一部などが思い出せないのに対して、認知症の場合は出来事そのものをそっくり忘れてしまうが特徴です。たとえば、朝ご飯に何を食べたか思い出せないのは物忘れですが、認知症の場合は朝ご飯を食べたということ自体を忘れてしまうのです。本人も、はじめのうちは思い出せなかったり物事のつじつまが合わないことに戸惑いや焦りを感じるので、介護をする人も相手の不安を理解しながら介護をすることが大切。お金の置き場所を変えたことを忘れて家族を疑うといったことは認知症にはよくあることで、疑われた家族としては不愉快になるかもしれませんが、家族にお金を盗まれたと思っている本人はもっと不安になるものです。そういった時に怒ったり揉めたりせずにすむように、大きなお金は本人に管理させないようにして少額のお金だけ渡しておくなど、普段から気を付けておくとよいでしょう。また、外出先で何かを忘れてトラブルにならないように、外出の時にはだれかが付き添うようにしたり、間違って名前を呼ばれてもやさしく対応したりするなど、家族の理解が大切です。
認知症は初めのうちこそ物忘れが多いくらいですが、進行するとそれまでできていた行為ができなくなって日常生活にも支障をきたすようになります。お箸やスプーンが使えなかったり、服の着替えが上手くできなかったりと、簡単な行為ができなくなってくるので、注意が必要です。運動能力の低下も激しく、どこかにぶつけてもそのことを忘れてしまって気が付くと大きなあざや怪我をしていることもあります。
認知症の介護は、通常の介護に加えて相手が精神的に不安定なぶん、介護者に負担がかかります。ちょっと目を離すと危険なことをしたり徘徊したりすることもあるので、一人で介護をするのは本当に大変です。家族全員のサポートはもちろん、介護サービスなども利用しながら余裕をもって介護をするようにしましょう。認知症の高齢者は、自分でも忘れたことはわかっていませんが、自尊心などはそのまま持っている場合がほとんどです。介護者に余裕がなくなると、つい厳しい言い方になってしまって、認知症患者をさらに追い詰めることになってしまいます。気持ちを安定させることがスムーズな介護にもつながりますので、一人で背負いこまずに広くサポートを求めながら介護するようにしましょう。

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